天皇賞 考察

 調教が明らかに悪い馬が少なくて取捨に苦労した。
 大外を選んだor行かざるを得なかった馬は、 1000m60秒のスローペースに殺された。


テレグノシス…11着。いったん下げて直線に賭けるのは予定通り。内枠がアダになった格好。距離は問題ないだろう。マイルのGⅠで再三好走し、前走1800も問題なくこなした馬が、1ハロン延長でパタリと止まるわけがない(明らかなスプリンターは別)。
ツルマルボーイ…遅れて追い込み、勝負圏外の4着。やはりテン乗りは、アテにならない面が多い。それに、今年の蛯名は例年ほどの冴えが見られない。
アドマイヤグルーヴ…テレビで向こう正面を映したとき、ピタリ折り合ってリズム良く走っていたので「おや」と思った。道中はインで溜め、直線入り口では先頭に踊り出る勢いで3着。
サクラプレジデント…14着。蛯名とは対象的に、今年は乗れてる松永幹夫。追い切りの「暴走」は、映像で見る限り致命的ではなかった。とりあえず道悪が上手くないのは、過去の実績どおり。
ローエングリン…坂路調教の方がリズムが良い。5着健闘とはいえ、今日はペースを落としすぎ。切れ味勝負になってはダメ。去年の安田記念後藤浩輝)と同じ失敗。
ナリタセンチュリー…最後に馬群を割って6着。恐らく道悪は不得手。それに平坦向きだろうし、府中初経験もマイナス。
シルクフェイマス…10着。調教は素晴らしかった。春は連勝しながら力を付け、調子を上げていった。こういうタイプの馬は、流れに乗っている間なら強敵相手に金星を上げたりもできる反面、いったん波を外れると、互角以下の相手でもポロポロ取りこぼす。
まず「休み明けは絶対狙っちゃダメ」。次走に鳴尾記念とかへ出走すると人気になるだろうが、“お客さん”で凡走する危険が大だ。
バランスオブゲーム…9着。可哀想だが一生GⅠを獲れない馬なので、本命を打ったプロの記者はセンスがない。お辞めになることを勧告する。
リンカーン…後方のまま何の見せ場もなく(テレビにすら映らず)12着。今回最大の“お客さん”だった。長距離ばかり使われていると、中距離のペースにとまどうのは良くあるケースだし、何とかついて行けても直線で早い足を使えない。夜、UHFの映像を見たら、向こう正面でかかり気味に力んで走っていた。


ゼンノロブロイペリエでなければ単勝は買わなかった。菊花賞で己を責めた名手が、一年の時を経て汚名返上に燃えて再来したのだ。その心意気は誰にでも容易に予想できたはず。枠順や展開なんか抜きに、彼の意気込みこそ予想の根拠にできる。もっとも、私的見解では菊花賞は騎乗ミスとは思わない。あのレースは巡り合わせが悪かったのだ(そういう場所に誘い込まれてしまうのも実力だろうけど)。


UHFのダイジェストで、わが柏木先生が「これでJC→有馬記念がますます面白くなる」とおっしゃった。まことに同感。先生の弟子である実感を再確認した。
というより
「どの馬が勝ったら(天皇賞馬になったら)、JC・有馬が面白くなるか」
は、必要不可欠な予想のファクターだと思っている。
逆に言えば
「この馬が天皇賞馬では、JC・有馬が盛り上がらない」場合は、文句なく切る。
ふさわしい馬、イメージに合致する馬を探すのが近道なのだ。


蛯名のツルマルボーイ、松永のサクラプレジデント、勝春のバランスオブゲーム天皇賞馬になって、JCが盛り上がるわけがないじゃないか。
ナリタセンチュリーシルクフェイマスが、天皇賞馬として有馬記念に駒を進めるシーンを想像してみるがよい。…ほら、レース前から期待度が下がるでしょ。ゲンメツ。