16:45

 若井が泣いている。表彰式が終わるまでは堪えていたのだろうが、パレードが始まるともう涙を止められなかった。


 「雨じゃなかったら」とのタラレバは必ず出る。くだらない。
 若井のエンジンは完璧に仕上がっていた。準決のアシを見れば一目瞭然だ。
 「強い選手が勝つ」のではない。「勝った選手が強い」のだ。
 雨走路になったのも天の配剤であり、彼は勝つべくして勝ったのだ。


 この勝利におごることなく(彼はそんなタイプではない)、「次」を目指して欲しい。
 できれば良走路がいいな。早く2つ目を獲って、外野の声を叩きのめしてください。


 スタンドからは、紙吹雪の舞いとともに若井コールが湧き起こった。
 長い表彰式のあとでも客が帰らない。うす寒く、小糠雨の降るなか、ファンは待っていてくれた。
 こんな幸せな選手、ちょっといないぞ。 
 おめでとう若井友和。君こそスターだ


 第8回オートレースグランプリ優勝戦(やや重)

  優勝 若井友和  準優勝 高橋貢  3着 岡部聡
       ⑤⑧⑦ 1940円  ⑤⑧ 870円